小粒な項目が多い中で今年のメインは「103万円の壁」問題です。
税制改正大綱では「103万円→123万円」に引き上げるという内容になっていますが、「178万円を目指して誠実に協議する」とも明記されており、20万円以上の引き上げになる可能性も残っています。
1.基礎控除の引き上げ
① 控除額
・48万円⇒58万円(+20.8%)
② 根 拠
前回控除額を上げた平成7年から令和5年にかけて消費者物価指数は10%程度上昇、生活必需品は20%上昇している。
③ 所得制限
58万円になるのは合計所得金額2350万円以下。
2350万円超は従来と同じで、50万円刻みで控除額が減り、2500万円超でゼロに。
④ 適用時期(以下2.3.4も同じ)
・令和7年分~
・令和7年は年末調整で対応し、天引き額が変わるのは令和8年から
2.給与所得控除の引き上げ
① 控除額
・最低保証額 55万円⇒65万円
② 根 拠
物価上昇に伴って給料が増えれば控除額も自然に増えるが、年収約162万円以下は55万円で固定されているため、物価上昇と働き控えに対応するため引き上げ。基礎控除の10万円と合わせて20万円のアップ。
3.大学生アルバイトの働き控え対応
① 控除額
・現状:19歳以上23歳未満の特定扶養親族が給与年収103万円以下なら親から63万円控除
・改正:特定親族特別控除を創設。給与年収150万円までは63万円控除、150万円超は約187万円まで段階的に控除額が縮小
② 根 拠
不明。年収150万円や段階的に縮小する仕組みは配偶者控除と同じ。150万円を超えても急には税負担が増えない仕組み。
4.その他調整
① 控除額
・扶養、配偶者、障害者、寡婦、ひとり親控除:合計所得金額48万円以下⇒58万円以下
・勤労学生控除:合計所得金額75万円以下⇒85万円以下
・内職の控除額:55万円⇒65万円
5.住民税
① 内容
所得税の2.3.4は住民税でも同様の仕組みになるものの、1の基礎控除については地方の財源を考慮し、43万円を据え置き
② 適用時期
・令和8年分~
103万円の壁は123万円に引き上げられたものの、社会保険の106万円と130万円の壁や各企業の扶養手当の問題もあることから、働き方が大きく変わるほどの抜本的な改正とは言えないかも知れません。