詐欺被害と税金

posted by 2024.03.12

sagishi_man

 時計のシェアリングサービスや小学生による投資など最近”詐欺”に関するニュースが増えています。
注意喚起のためにどんどん報道してもらう方がいいのですが、詐欺で被害を蒙った場合に税金での救済はあるのでしょうか。

 

 災害、盗難、横領等が原因であれば「雑損控除」による所得税の軽減がありますが、詐欺や恐喝に関しては「雑損控除」の適用はありません。

 元々の法律の趣旨としては、詐欺については儲けようという下心があるから、という騙される方も悪いような考え方もあったようですが、昨今ではそんな理屈では片づけられないような巧妙な手口も増えています。

 

 振り込め詐欺にあった方が不服審判所で争った事例がありますが、その中で”詐欺”は災害、盗難、横領のどれにも当たらないとされています。
本人の意思に基づいているので災害ではなく、意に反する第三者による財物の移転ではないので盗難ではなく、犯人に何かを委託していたわけはないので横領でもない、というのがその根拠です。

騙される方が悪い、と言うよりは現状の雑損控除の規定に当てはまらないから使えない、ということなので、線引きは難しそうですが現状に即した制度に変えていって欲しいものです。

 

 なお、法人が詐欺被害を受けた場合は、損失が発生した事業年度で損金に計上されます。
ただ同時に民事上の損害賠償請求権を取得して収益計上されます。
結果として、損と益が同額計上されるので所得には影響しません。

(詐欺損失)(預 金 等)1億円
(未収入金)(雑 収 入)1億円

 その後、債務者の資産状況や支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった時点でやっと「貸倒損失」として損金計上できます。
ただし、現実問題として損害賠償金の支払いを受けることはかなり難しいので、支払を実際に受けた時点で益金に算入することも認められています。

 

 税法の詳しい話はともかくとして、皆様詐欺にはご注意を!