確定申告不要 ≠ 記載不要

posted by 2024.02.1

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 確定申告の必要性の最後は「確定申告しなくていいけど、するなら含めないといけない」です。

  ”個人”は申告するのが当たり前である”法人”と違い、簡略化のために次のようなものは申告不要とされています。

・儲けが20万円以下の副業
・源泉徴収された退職金(退職所得控除により徴収額0円の場合も含む)

 ただし、他の項目で確定申告するなら上記は省略することはできず、申告に含めないといけません。

 

<儲けが20万円以下の副業>

 給与所得者は原則的には年末調整で所得税の計算が完結するので確定申告をする必要がありません。
他に事業所得などがあれば当然確定申告は必要ですが、副業で儲けが20万円以下であれば少額不追及という考え方により申告不要とされています。
ただし、住宅ローン控除や医療費控除などを受けるために申告することを選んだ場合には、副業についても省略することなく記載する必要があります。

 

<源泉徴収された退職金>

 退職金は勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば所得税と住民税が正しく計算されるので、通常はさらに確定申告する必要はありません。
ただし、他の所得や控除のために確定申告する場合は、退職所得も含めて申告する必要があります。

 退職所得は分離課税で、給与や不動産など一般の所得とは別に計算します。
そのため、申告書に記載しても通常は税額が増えることはありません。
ただし、合計所得金額自体は増えるので基礎控除と扶養控除などに影響が出ます。

① 基礎控除

 年間48万円の基礎控除は誰でも使える控除ですが、所得が2400万円超になると縮小され、2500万円超で0円になります。
勤続期間に応じた退職所得控除をして、さらに1/2したものが2400万円超となると相当高額な退職金を受け取っていることになりますが、令和2.3年で該当する方は全国で4515人おられたようです(会計検査院調べ)。

② 扶養控除等

 扶養控除は合計所得金額48万円以下、配偶者控除は合計所得金額が133万円以下であれば受けることができます。
ただし退職金を受け取っていて確定申告すれば、その分合計所得金額が増えるので扶養から外れることがあります。
例えば給料が100万円でも、同じ年に退職金(5年勤務)を210万円を受け取って確定申告すれば退職所得が5万円発生するので103万円をオーバーすることになります。

 ややこしいのは確定申告をしない場合は、上記のような影響を受けないという点です。
例えば、医療費控除をするかどうかは自由なので、扶養の範囲内の給料で還付額が少額なら確定申告しないで扶養控除を受けた方が得になります。

 

 退職所得や20万円以下の副業は申告不要ですが、申告するなら記載しないといけない、という点を覚えておきましょう。