経済成長につながる国内投資を促すために戦略分野国内生産促進税制とイノベーションボックス税制が創設されます。
(1) 戦略分野国内生産促進税制
① 概要
GX、DX、経済安全保障という戦略分野において生産・販売量に応じて法人税が控除されます。具体的には電気自動車等(蓄電池)、グリーンスチール、グリーンケミカル、SAF(航空燃料)、半導体といった物資で、物資毎に単価が設定されます。
② 内容
・事業者 :産業競争力強化法の事業適応計画の認定を受けた青色申告法人
・対象資産:計画に沿った機械などの減価償却資産
・控除限度:法人税額の40%(半導体は20%)
・繰越し :控除しきれない金額は4年(半導体は3年)繰越し可能
③ 適用除外
・継続雇用者の給料が1%以上増加していない場合
・国内設備投資額≦減価償却費の40% となっている場合
④ 適用期間
産業競争力強化法の改正法施行の日~令和9年3月31日までに計画に認定を受けて、認定後10年間
(2) イノベーションボックス税制
① 概要
特許権やAI分野のソフトウェア著作権から生ずる譲渡所得やライセンス所得から30%の所得控除(実効税率に換算すると約9%)が認められます。
② 内容
・対象:特許権やAI著作権の国内への譲渡所得または国内外からのライセンス所得
・控除額:【(イ)×(ロ)/(ハ)】×30%
(イ)特許権譲渡等取引に係る所得
(ロ)適格研究開発費(国内で自ら研究開発を行ったものに限定)
(ハ)当期及び前期以前の研究開発費の合計額(令和7年4月1日以後開始事業年度分に限る)
・上限 :当期所得金額の30%
③ 適用時期
令和7年4月1日~令和14年3月31日までに開始する各事業年度
(1)は成長分野の売上の一部を利益から除外する制度、(2)は知的財産に係る法人税率を下げる制度となっています。
税制は本来どの企業にも平等に適用するものですが、国際的な競争力を高めるために業種を絞り込んで思い切った支援をする内容となっています。