税制改正大綱の7回目は法人向けの小ネタを取り上げます。
(1) ストックオプションの上限拡大
① 概要
スタートアップ企業では、上場時の報酬の約束としてストックオプションが導入されるケースが多いですが、より人材確保に資するように年間の権利行使の上限が拡大されます。
② 内容
<改正前> 年間1200万円
<改正後>
・設立5年未満:2400万円
・設立5年以上20年未満かつ非上場時に付与:3600万円
・設立5年以上20年未満かつ上場後5年未満で付与:3600万円
・設立5年以上20年未満かつ上場後5年以上で付与:1200万円
・設立20年以上:1200万円
(2) 暗号資産の評価方法
① 概要
法人が暗号資産を保有する場合、決算ごとに時価評価する必要があり、含み益に課税されていましたが、簿価評価を選べるようになります。
改正により、ブロックチェーン技術を活用した起業等が促進されることが期待されます。
② 内容
<要件>
・市場に流通する暗号資産を第3者が継続的に保有
・他の者に移転できないような技術的措置が取られている
・制限があることを暗号資産交換業者に通知していること 等
<評価方法>
・原価法か時価法のいずれかを選択
・自社発行分を発行時から継続保有している場合は原価法
どちらの改正もそれほど注目されない地味なものではありますが、①はベンチャー企業における人材確保、②はWeb3.0の推進といったこれまで日本が弱かった分野を活性化させる上で重要な改正となっています。