休眠の注意点

posted by 2023.11.15

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 会社で事業をしている場合に、廃業や個人事業化など何らかの事情で会社での事業活動を休止することがあります。

 正式な手続きとしては会社を解散、清算ということになりますが、”休眠”という手続きを取ることも可能です。
解散や清算にはそれなりにコストと手間がかかりますし、次に事業をする際に一から会社を作ると設立費用が30~40万円かかるということもあります。

 

 休眠の手続きや注意点について確認しておきます。

 

1.法的手続き

 休眠する段階では特に登記手続きはありません。
ただし、役員の任期は活動状況に関わらず満了するので定期的に役員変更(重任)手続きが必要です。
任期が2年など短い場合には、休眠する段階で10年など長めに変更しておいた方がいいかも知れません。

 なお役員変更登記をせずに放置していると、最後の登記から12年経った段階で法務局により「みなし解散」させられます。
これはあくまで”解散”であって”清算”ではないので法人は残ります。
みなし解散した関連会社に対して貸付金等がある場合、会社は消滅したわけではないので貸した側で貸倒処理はできないということになります。

 

2.税務手続き

① 休眠時

 税務署、都道府県、市区町村に「異動届」を提出します。
これによって都道府県や市町村の均等割をゼロにすることができます。
特に提出期限は決まっていないので、申告の段階で期首にさかのぼってゼロにすることも可能です。

 

② 休眠後

 休眠すると申告せずに放置されることもありますが、申告は継続しておくのがベターです。
青色欠損金の繰越控除は継続して申告(白色でもOK)することが要件なので少なくとも繰越欠損金が使える10年間は申告を続けた方がいいでしょう。

 また無申告の状態が2年続くと通常青色申告が取り消されます。
休眠から復活した時に白色申告だと税務上不利なので、青色申告維持のためにも法人税の申告は続けた方がいいでしょう。

 

③ 注意点

・人件費や経費などが出ていると休眠とは認められないことがあります。

・預金は必ずしも全て引き出す必要はありません。

・銀行借入金がある場合は通常は休眠できません。他の法人や個人で返済するなど銀行との折衝が必要です。

・役員借入金については残したままでも休眠できます。ただしその役員の財産として残るので相続税の対象になります。

 

 復活させる予定もないし、登記費用ももったいないし、申告し続けるのも面倒ということであれば費用を掛けてでも清算してしまった方がいいかも知れません。