相続があった場合には遺産分割協議により分け方を決めますが、民法上は法定相続分が定められています。
例えば配偶者と子2人なら、配偶者1/2、子1/4ずつといった具合です。
ただし相続人の中に長年被相続人の介護をしていたとか、被相続人の事業を無給で手伝っていた人がいた場合にその貢献(寄与)も考慮しないと不公平な部分が出てきます。
このように財産の増加や維持に貢献した相続人の取り分を多くする制度を「寄与分」と言い、寄与した人が遺産分割協議の際に主張して他の相続人の合意が得られれば考慮されます。
昨今は少子高齢化もあり、介護を相続人でない親族(例:長男の嫁)が担うことも増えています。
先に説明した寄与分は相続人にしか認められず、長男の嫁がいくら頑張っても何も相続できませんでした。
そこで2019年に民法が改正され、相続人以外の親族でも寄与分を請求できる「特別の寄与」という制度ができました。
<請求できる人>
・6親等内の血族、3親等内の姻族で相続人でない人(例:長男の嫁、被相続人の兄弟など)
・相続放棄や欠格廃除により相続権を失った人は不可
・内縁関係にある人も不可
<目安となる要件>
・療養看護等を無償または無償に近い報酬で実施
・通常期待される程度を超える”特別”な寄与
・長期間(3年以上)継続していた
<特別寄与料の算定>
・相続財産から遺贈額を控除した残額が限度(=遺言で全て決まっていれば被相続人の意思が尊重されるので特別寄与分が発生しない)
・寄与分の場合は「第三者が行う場合の療養看護の日当 × 日数 × 裁量割合(50~70%程度)」で算定されるのでそれに近い考え方
・請求できるのは金銭のみ
・領収書、診断書、介護認定など介護の状況が分かる記録を保管しておくことが重要
<手続き>
・期限:相続開始及び相続人を知った日から6か月経過または相続開始から1年経過
・協議:相続人との協議で決定しなければ家庭裁判所に処分を請求できる
<相続税>
・特別寄与料は遺贈により取得したとみなすので2割加算の対象
・申告期限は特別寄与料確定から10か月以内
・特別寄与料を支払った相続人は債務控除できる。既に申告が終わっていれば更正の請求で還付請求(特別寄与料確定から4か月以内)
制度はできたものの実際には感情的な対立や証明の難しさなどハードルが高く、もらえる額も期待ほどではありません。
むしろ、生前に遺言や贈与、保険加入などにより対応しておく方が確実に特別の寄与に報いることができるかも知れません。