プロスポーツ選手と税金というと契約金や年俸に対する所得税・住民税が話題になりますが、個人事業者である以上消費税も関係してきます。
基準期間(2年前)の年俸によって消費税の取扱いは変わってきます。
① 1000万円以下…免税
② 1000万円超5000万円以下…原則課税または簡易課税
③ 5000万円超 …原則課税
②の場合は原則か簡易かを選べますが、簡易課税を選ぶケースが多そうです。
経費が多ければ原則課税もあり得ますが、道具代、身体のメンテナンス代、交際費などを合わせてもそれほど大きな金額にならないため、実額ではなく概算で引ける簡易課税が有利になりそうです。
では簡易課税の場合、第何種になるのでしょうか?
・第1種(90%):卸売
・第2種(80%):小売
・第3種(70%):建設、製造等
・第4種(60%):その他、飲食、加工等
・第5種(50%):サービス、娯楽、運輸通信、金融保険等
・第6種(40%):不動産
業種の区分は原則として「日本標準産業分類」に基づいて行いますが、プロスポーツ選手は産業分類にその区分がありません。
では「その他」の第4種に該当するかと言うとそうではなく第5種に該当します。
というのも選手自身ではなく、選手の所属するクラブ等で判断すると産業分類上は「演芸・スポーツ等興行団」として娯楽業に該当するためです。
第5種の場合、売上に係る消費税から50%控除して納付税額を計算します。
なお、来月から始まるインボイス制度もプロスポーツ選手の税負担に大きく影響します。
年俸1000万円以下であれば免税事業者であったのが、今後インボイス登録すれば消費税の納税と事務負担が増えます。
チームから登録を推奨されなかった場合は大丈夫ですが、その場合はチーム側の消費税負担が増えるので、チケット代などに跳ね返ってくるかも知れません。
従来から課税のトップ選手に変化はありませんが、下部リーグの選手ほど生活への影響が大きいことになります。
8割引ける経過措置はあるので、その間に環境整備が進むことが期待されます。