前回の続きでやむを得ず滞納してしまった場合、どういうことが起こるのかを見ていきます。
突然税務署の人が家にドカドカと入ってきて赤い紙を貼って家財道具を持って帰ってしまう、ようなことは起きません。
基本的には国税徴収法に則って処理が進みます。
① 滞納
② 督促状が届く(納期限から20日以内)
③ 電話や訪問による催告
④ 財産調査(預金、不動産、売掛金など)+身辺調査
⑤ 差押え(法律上は②から10日以内、実際はケースバイケース)
⑥ 取立てや公売
⑦ 税金へ充当
②は自動的に送られてきますが、③から先は納税者の対応によって大きく変わります。
まずは①か②の時点で無視をせずに連絡して事情を説明することが重要です。
払う意思があるということを伝えておけば、いきなり⑤や⑥になることはありません。
払う意思を伝えて⑤や⑥を避けるための手続きとして「換価の猶予」と「納税の猶予」の手続きがあります。
<換価の猶予>
・内容:納付計画を伝えて換価(公売)を避ける手続き
・効果:納付延長、換価の猶予、延滞税軽減(8.7%⇒0.9%)
・提出期限:納期限から6か月以内
・延長期間:最長1年。さらに延びる場合は再申請すれば+1年可能
・提出書類:申請書、財産収支状況書(滞納額100万円超なら財産目録及び収支の明細書)
・担保提供:原則必要。少額あるいは短期間なら無しでも手続き可能
・注意事項:計画通り納付しなかった場合は猶予が取り消されてしまうため、実行できる内容で申請する必要があります。
<納税の猶予>
・内容:災害等やむを得ない場合に納税を待ってもらう手続き
・要件:災害又は盗難、本人や家族の病気、休廃業、事業での著しい損失等
・提出期限:納付困難となったとき
・効果、延長期間、提出書類、担保提供、注意事項については換価の猶予と同様
「納税の猶予」は要件が限定的であるため、通常は「換価の猶予」で申請します。
申請書の書き方については、どことどこが連動するか、ここがマイナスになってないといけないなど形式的なコツもありますので、税務署あるいは税理士と相談しながら進めましょう。