日当と消費税

posted by 2023.08.25

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 役員や従業員が出張に行った場合に、交通費や宿泊費の実費精算とは別で日当が支給されることがあります。

「日当」とは出張の際の食費や通信費などの雑費に充てるために支給される手当のことを言いますが、税務上はどう扱われるのでしょうか?

 

<所得税>

 会社としては細々したものまで精算すると手間がかかるのと「出張お疲れ様」という慰労のためという位置づけなので”給料”として課税はされません。
そのため中小企業では、出張の多い方は役員報酬を日当に置き換えて、所得税や社会保険を節税している例もあります。

 日当を支給するには、旅費規程を作成していることと金額が適正であることが求められます。
金額については所得税基本通達9-3に定められています。

「…その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいう」

では”通常必要”の範囲はどう判断するかというと次の事項を勘案するとされています。

① その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

② その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

 結局はっきりとは書いてないのですが、一応相場感はありますので導入される場合はご相談下さい。

 

<消費税>

 交通費や宿泊費は領収書がありますが、日当は手当なので領収書がありません。
ただし、日当には実費弁償的な性格があるため、国内出張に関しては消費税を控除することができます。

 

 ここで気になるのがインボイス
インボイス制度が始まる10月以降、登録事業者への支払いでないと控除を認めないとか、領収書に消費税も細かく書いてないといけないとかルールがやたら厳格になります。

 ただし日当に関しては取扱いに変更はなく、従来通り仕入税額控除ができます。
ちょっと不思議な感じがしますが、実費精算の手間が増えてしまうことや所得税が非課税であることとのバランスを取っているのかも知れません。