山林と税金 ②

posted by 2023.08.24

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 昨日の続きで山林の相続税評価売却時の取扱いについて見ていきます。

 

1.相続税評価

① 種類

純山林 …市街化地域から遠く離れており、宅地の価額の影響をほとんど受けない山林

中間山林…純山林と市街地山林の中間的な山林

市街地山林…都市計画法上の市街化区域にあり、宅地の価額の影響を受ける山林

 

② 評価

<純山林・中間山林>

・倍率方式:固定資産税評価額 × 倍率(国税庁HPで地域別に公開)

 面積や形状は関係なく、単純に固定資産税評価額に倍率を掛けます。
そのため、まず固定資産税の通知書や評価証明で評価額を把握する必要があります。
倍率地域の区分は「県道〇〇線より北側」といった感じで範囲が広いので、正確な場所まで分からなくても評価はできます。

<市街地山林>

・宅地比準方式:(1㎡あたりの路線価評価-造成費)× 面積

 市街地にあるため、宅地に近い評価となりますが、造成費を控除する点が異なります。
造成費は国税庁HPに地域別に公開されています。
項目としては、整地費、伐採・抜根費、地盤改良費、土盛費、土止費があります。

 なお、事例としてはレアですが、財産的価値のある”売れる木”を育成している場合には、山林とは別に「立木」として評価します。

 

2.売却時の取扱い

① 譲渡所得

・対象:山林そのものを土地として売却

・所得:収入金額-(取得費+譲渡費用)

・税率:

 所有期間5年以内の短期譲渡…所得税30.63% +住民税9%

 所有期間5年超の長期譲渡 …所得税15.315%+住民税5%

 

② 山林所得

・対象:所有期間が5年を超える立木を伐採して売却(5年以下は事業所得または雑所得)

・所得:総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)

※必要経費…15年以上所有していた場合には50%を経費にできる概算経費の特例があります。

・税額:(課税山林所得金額 ×1/5×超過累進税率)× 5

※5分5条方式…税率は通常と同じですが、分離課税なので他の所得の多寡の影響を受けず、5で割ってから税率を掛けることで二重に軽減されています。