生前贈与の調べ方

posted by 2023.08.8

4413283_s

 相続税を計算する際に3年以内の贈与は相続財産に加算する必要があります。
これは相続税を免れるための駆け込み贈与を防ぐためのもので、贈与自体は成立していますが、税金的にはなかったことになります。
加算する期間は、令和5年度改正により令和6年1月以降7年に延びます。

 

 贈与も契約の一種でお互いの合意によって成立します。
したがってもらった相続人も「もらった」自覚はあるはずで、相続税の申告の際に過去3年以内の贈与がないかどうかを確認しています。
3年や7年なら比較的最近のことで覚えていると思いますが、相続時精算課税の場合、古いものなら20年前ということもあります。
相続時精算課税は毎年の暦年贈与のように3年(7年)以内は加算というような期間の上限はなく、何年前であろうと加算する必要があります。

 

 20年以上前となるともらった方で覚えていないこともあるでしょうし、親主導で税理士と相談して実行していた場合、もらった子どもの方は制度について詳しく説明を受けていないこともあり得ます。

 申告書や届出書の控えが残っていたり、税理士が変わっていなければ把握はできますが、手掛かりがない場合はどう調べればいいのでしょうか。

 

 過去に提出した申告書や届出書を確認するための方法として「申告書等閲覧サービス」という手続きがあります。
これは適正な申告を行なうために、過去に提出した申告書等を閲覧できるサービスで、原則的には自分で提出した申告書等が対象です。

 

 ただし相続税に関しては、他の相続人が受けた贈与も加算する必要があるため、他の相続人分も確認できる開示請求の特例が設けられています。
「相続税法第49条第1項の規定に基づく開示請求書」という書類に、遺産分割協議書、遺言書、戸籍謄本などを添付して、亡くなった方の死亡時の住所を所轄する税務署に提出します。

 

 閲覧した申告書等はコピーできるのかなど閲覧サービスの全体像は次回に続きます。