来年3月までの事業承継税制 ②

posted by 2023.07.28

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 前回の続きで事業承継税制について見ていきます。

 期間限定の特例措置を受けるには来年3月までに特例承継計画を提出する必要がありますが、そもそも一般措置と特例措置でどれぐらい違いがあるのでしょうか。
違いとしては次の8項目があります。

 

1.計画提出

・一般:不要
・特例:令和6年3月31日までに特例承継計画を知事に提出

 計画には後継者候補(後日変更も可能)、承継予定時期、承継までの経営課題、承継後5年間の計画などを書きます。
一見難しそうですが、A4で2枚程度なので概要でOKですし、あくまで予定なのでその通りにならなくても構いません。
計画には認定支援機関による所見も必要です。

 なお、特例承継計画を出して認定を受けたからと言って必ず贈与や相続を実行しないといけないわけではありません。
一方、計画を出さなければ特例は受けられないので『とりあえず』計画を出しておいて実行するかどうかはあとで考える、というのもアリです。

 

2.適用期限

・一般:なし
・特例:平成30年から令和9年末までの10年間に贈与や相続

 もしかしたら1の提出期限も含めて、今後の税制改正で延長されるかも知れませんが、まずは延長はないものとして準備を進めた方がいいでしょう。

 

3.対象株数

・一般:総株数の2/3まで
・特例:全株

 一般では残り1/3に対する税負担の問題があったため、特例では全株が対象となっています。

 

4.納税猶予割合

・一般:贈与100%、相続 80%
・特例:贈与100%、相続100%

 一般では相続の時に20%分の税負担がありましたが、特例では100%になり、株に関する相続税贈与税をゼロにすることも可能になっています。
3と合わせて考えると、従来は2/3×80%≒53.3%だったものが100%になっているので差は大きいです。

 

 長くなるので残り4つについては次回へ続きます。