来年3月までの事業承継税制 ①

posted by 2023.07.27

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 非上場の中小企業の事業承継をスムーズに行うための制度として事業承継税制があります。

 

 平成21年に創設されましたが、要件の厳しさからあまり普及しませんでした。
そこで平成30年に期間限定で”特例措置”として緩和されました。
要件を緩めてメリットも大きくするので10年間の間に集中的に事業承継を進めて欲しいというのが設計した国の狙いです。

 

 特例措置の最初の手続きとしてまず特例承継計画を提出する必要があります。
その提出期限が当初は令和5年3月31日だったのですが、コロナ等を理由に1年延長されて令和6年3月31日とされました。
年が明けると何かとバタバタするので、検討されている方は年内にしっかり話し合って準備を進めていくのがベターです。

 

<スケジュール>(特例措置)

① 令和6年3月31日までに特例承継計画を都道府県庁へ提出

② 令和9年12月31日までに株を贈与または相続

③ 贈与の翌年1月15日または相続から8か月以内に都道府県に円滑化法の申請⇒認定

④ 贈与税の申告(贈与の翌年3/15まで)または相続税の申告(相続から10か月以内)

⑤ 5年間事業継続+継続届出書を毎年税務署へ提出

⑥ 5年経過後は継続届出書を3年ごとに提出

 

 相続は時期が読めないだけに通常は贈与で考えます。
まずは来年3月までに①の特例承継計画を出しておいて、令和9年12月31日までの間に時期を見て贈与を実行することになります。
仮に令和7年に突然相続が起こったとしても、特例承継計画を事前に出しておけば特例措置を使うことができます。

 

 代表者を変更して、株も過半数渡すというのは会社にとっては非常に大きい出来事です。
①から②の間が3年9か月あるので、その間に後継者としての適性の見極め、事業承継に向けての教育、社内外での納得感の醸成など準備を進めていくことになります。

 

 一般措置と特例措置の違いや特例承継計画の作り方については次回へ続きます。