コロナ禍においては納税猶予の手続きが簡略化されていましたが、5類に変更されたことに伴い、7月1日から以前の手続きに戻ることとなりました。
※印の部分が以前の手続きに戻る部分です。
1.申請による換価の猶予
① 要件
・一時の納付すると事業継続又は生活維持が困難になる恐れ(数字で表現)
・誠実な対応
・他に国税の滞納がない
・納期限から6か月以内に申請書提出
・書類提出が難しい場合は口頭でも可能⇒※特例終了
・原則として担保不要⇒※担保必要(100万円以下や3か月以内なら不要)
② 内容
・1年間の猶予(状況に応じて更に1年猶予も可)
・1年後の一括納付も可能⇒※原則として毎月分割
・延滞税軽減(2.4%又は8.7%⇒0.9%)
・財産の差押えや売却の猶予
2.個別事情による納税猶予
① 個別事情の具体例
・コロナ感染による消毒作業による備品や在庫を廃棄した⇒※災害や盗難等
・本人や家族が病気にかかって医療費がかかった
・休廃業による損失
・利益の減少による損失
② 要件
・個別事情の発生により一時に納付できない
・申請書の提出
・原則として担保不要⇒※担保必要(100万円以下や3か月以内なら不要)
③ 内容
・1年間の猶予(状況に応じて更に1年猶予も可)
・1年後の一括納付も可能⇒※原則として毎月分割
・延滞税軽減又は免除(2.4%又は8.7%⇒0.9%又は0%)
・財産の差押えや売却の猶予
要件としては原則として担保が必要になることと添付書類の省略ができないことぐらいで大きく変わるようには見えません。
ただ運用面では厳しくなると思われます。
「コロナ禍が理由ならよほど多額でない限りそのまま通す」という状態だったものが「資金の流れや納税見込みなどを書類で精査する」ことになるため、手間はかかるようになります。
手続きが厳しくなるということもありますが、猶予をしてもあとで新規発生分と二重に払うことになり資金繰りは難しくなります。
通常モードに戻ってきているだけに猶予制度に頼り過ぎることなく、計画的に納税を考えていく必要があります。