従業員への株式贈与

posted by 2023.04.6

ramen_syouyu

 ハイデイ日高の会長が従業員に4億円分の持ち株をプレゼントするというニュースが出ていました。

 たまに株の無償贈与のニュースがありますが、これは税金上どう扱われるのでしょうか。

 

 今回は一人あたり100~400株なので時価21~85万円となり、贈与税の非課税枠110万円を下回っています。したがって贈与税は0円
会社からの給料や賞与であれば所得税、住民税、社会保険がかかりますが、贈与なのでそれもかかりません。
従業員からすると税金のかからない臨時ボーナスのようなものです。

 受け取った従業員が今後株を売った場合には、売却益に対して20.315%(住民税含む)の税金がかかります。
株の取得価額については、贈与の場合は前の人の金額を引き継ぎますが、この会長は創業者なので取得価額は低そうです。
売値の5%しか取得価額として引けないかも知れません。

 今回の贈与の目的としては創業50周年の感謝など従業員への還元の一環として行われるようです。
また相続対策という部分もありそうです。
株だけで120億円近い資産になるのですが、その半分以上が相続税で持っていかれるので、それなら従業員に還元しようということかも知れません。

 

 ハイデイ日高は上場会社ですが、非上場会社でも近いことはできます。
ただし、株をよく分からない人に売られては困るので譲渡制限をつけたり、従業員持株会を通じて渡す方法が考えられます。
従業員持株会の場合、規約に退職時に買い取ることを定めておけば株式の分散を防ぐことができます。

 非上場会社の株価は支配権をプレミアムとして考えるため高くなりがちですが、少数株主への売却であれば配当還元方式で極端に株価を低くできます。
オーナーから持株会に配当還元方式で安く譲ることができれば、オーナーの相続税対策になります。

 

 非上場会社の相続対策は難しい問題ですが、従業員持株会の活用も1つの方法として検討する価値はあります。