交換と共有物分割 ①

posted by 2023.04.7

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 入り組んだ土地の状況を整理する方法として『交換』『共有物分割』といった方法があります。

 

『交換』は文字通り、同じ価値であるAという土地とBという土地を交換することです。
『共有物分割』は例えば兄弟で共有状態にある一筆の土地をAとBの2つに分筆して、Aを兄、Bを弟の単独所有とする方法です。

 どちらも実行前と後で持っている土地の価値が変わらないため、基本的に所得税はかかりません。
ただし、不動産所得税登録免許税については取扱いが異なり、それぞれかかってきます。

 

1.所得税

① 共有物分割

 共有の土地の中で自分の場所を特定しただけで儲けたわけでも何でもないので、所得税は発生せず、確定申告も必要ありません。

 

② 交換

<要件>

 同じ価値のものを交換するだけなので基本的には所得税はかかりませんが、次のような要件があります。

・固定資産どうし(販売用の棚卸資産は対象外)

種類が同じ(土地と土地、建物と建物。借地権は土地扱い、付属設備や構築物は建物扱い)

・お互い1年以上所有

・わざわざ交換のために購入等していない

交換前と用途が同じ(土地であれば宅地、田畑など地目で判定。建物は居住用、店舗用など使い方で判定)

・お互いの時価の差が高い方の20%以内(ぴったり同価値である必要はなく、誤差20%以内なら交換の特例OK)

 なお、誤差がある場合にその差を埋めるためにお金で精算した場合には、受け取った側で譲渡所得に該当し、所得税が発生します。

 

<申告>

 等価交換の場合、所得税額は発生しませんが確定申告が必要です。
この場合、譲渡所得の収入金額及び取得費とも0円になるので、譲渡所得の内訳書や申告書にも0円で記入します。
また特例適用条文である「所得税法58条」を譲渡所得の内訳書と申告書に記載します。

 

 登録免許税と不動産取得税については次回に続きます。