新年度が始まりました。
4月は制度が変わるタイミングとなることも多いですが、税金に関して今回大きな改正はありません。
税務以外では経営者保証と給与に関して大きく変わる部分があるので、内容を確認しておきます。
1.経営者保証の厳格化
中小企業が銀行で借入を行う場合、たいてい社長が保証人になることが求められます。
現状で約7割の融資で社長が保証人になっています。
会社が返済できない場合、社長個人も責任を追及され、自己破産して自宅を取られるようなことも起こります。
そのため、起業をためらったり、事業承継を妨げる要因にもなっています。
そこで金融庁が経済産業省、財務省と連携して「経営者保証改革プログラム」を昨年末に策定し、この春から次のような内容で運用を開始します。
① 創業支援(3月~)
創業5年以内の事業者の経営者保証を不要とする融資制度が創設されます。
事業者が0.2%の上乗せ保証料料を負担すれば、3500万円まで全額保証、無担保で借りることができます。
政策金融公庫では「経営者保証免除特例制度」、民間金融機関では保証協会付き融資で取扱いが始まっています。
② 銀行に説明義務(4月~)
民間金融機関に経営者保証の必要性についての説明が義務付けられます。
その説明内容を記録して件数を金融庁に報告する必要があり、手続きが煩雑になるので安易な経営者保証付き融資を抑制する効果が期待できます。
③ 創業以外の事業者(来年4月~)
経営者保証を外すのに、従来は「経営者保証ガイドライン」の3要件を満たしている必要がありました。
基準に曖昧な部分もあり、ハードルが高かったのですが、来年4月以降に緩和されます。
<従来>
・資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分、分離されている
・財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
・金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている
<今後>
・法人から代表者への貸し付けがない
・決算書類を金融機関に定期的に提出している
・経営状態に応じて0.2%以上の保証料を上乗せ
中小企業向け融資が変わることで経済の活性化や事業承継が進むきっかけとなることが期待されます。
(つづく)