協賛金の会計と税務

posted by 2023.03.31

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 イベントや取引先、自治会等に協賛金を支払ったり、協賛品を提供することがありますが、会計と税務ではどう扱われるのでしょうか。

 

1.目的による区分

<勘定科目>

・不特定多数へ商品やサービスを宣伝  ⇒「広告宣伝費」

・自治体など事業に関係ない相手への協力⇒「寄附金」

・事業関連団体への協力会費      ⇒「諸会費」

・取引先とのお付き合いで行事等に協賛 ⇒「交際費」

 

<税務>

・法人税

 広告宣伝費諸会費は経費になりますが、交際費には限度額800万円(大企業は0円)があり、寄附金にも資本金などに応じて限度額があります。

・消費税

 広告宣伝費は社名の表示や商品の紹介など”見返り”があるので対価性のある課税取引になり、消費税が控除できます
それ以外の寄附金、諸会費、交際費については対価性が明確でないため、消費税は控除できません。

 なお、インボイス導入後はインボイス登録者への支払いでない場合、たとえ広告宣伝費であっても消費税を控除できません
NPO法人やイベントを主催する任意団体等がインボイスを登録しない免税事業者の場合は支払った側で消費税の仕入税額控除が10月以降できなくなります。

 

2.商品提供による協賛

<勘定科目>

(広告宣伝費)××(仕入高又は他勘定振替高)××

 原価をマイナスして「広告宣伝費」に振り替えます。
科目は「販売促進費」「見本品費」でもOKです。
この場合、商品の売価ではなく原価で振り替えます
商品を提供する以上、勘定科目は寄附金や交際費ではなく、広告宣伝費になるケースが多いと思われます。

 

<税務>

・法人税

 広告宣伝費として原則として経費になります。

 なお、単価10万円以上の高額な見本品(実演が前提)については「展示用固定資産」に該当するので提供した時に一括で経費にならず、減価償却により経費化することになります。

・消費税

 仕入や製造の時点で消費税は控除できているので、科目振替の時点では消費税は関係しません。

 

 目的や効果を見極めて正しく処理するようにしましょう。