結局どうなった!?電子帳簿保存法

posted by 2023.03.17

syorui_hakobu_joushi

 改正や経過措置で混乱のあった電子帳簿保存法ですが、令和5年度税制改正でガラッと状況が変わりました。

内容的には後退して、事実上紙保存が継続できるようになりました。

 

 これまでの経緯も含めて内容を確認しておきます。

1998年 電子帳簿保存法スタート。選択制で大手の一部で導入
2022年 電子データの電子保存を全企業に強制適用、紙保存不可に

※2年間の経過措置

・企業の準備が整っていないため、2023年末まで猶予

・要件は「税務署長がやむを得ない事情があると認めること」「税務調査時に書類の提示や提出に応じること」の2つ

 

 この経過措置が予定通り2年で終了し、2024年1月から次のような制度になります。

<原則> 電子データは電子保存

<例外> 次の要件を満たせば紙保存も可能

・電子保存できないことについて税務署長が相当な理由があると認めること(申請は不要)

・税務調査時にダウンロードの求め及び出力した紙の提示又は提出に応じること

 

 見た感じ現行の2年間の経過措置と似ていて何も変わらないように見えます。
一体何が違うのでしょうか。

・期間限定ではなく恒久的措置

従来の経過措置では紙保存のみで良かった(電子データは管理不要で削除も可)ものが、改正案では電子データも保存必要

・但し電子データに関して検索機能やタイムスタンプなどの要件は不要

 つまり、電子で受け取った請求書や領収書等は電子データのまま残す必要はあるものの、法律上は管理不要で「紙で打ち出しておく」or「調査時に打ち出しできれば十分」ということになります。

 ただ管理不要といってもメールで受信してそのままで探せないとか、確定前の仮データが残っていて最終版が分からないといった状態では困るので、実務的には何らかの管理はすることになると思います。

 日付・金額・取引先ごとに検索できるようにとか、改ざん防止のためのタイムスタンプや社内規程整備とか、システム入れ替えなんかも検討してたのに何だったんだ、という気もしないではないですが、現実的な対応に落ち着いたと言えるかも知れません。

 

 法律的には緩くはなりましたが、ペーパーレス化や事務合理化という観点では電子帳簿保存はやはり検討した方がいいように思うので自社にあったやり方で進めていきましょう。