連合の一次集計によると春闘での賃上げ率は平均で3.80%と昨年から1.66ポイント上昇し、1993年のバブル以来の高水準になっています。
中小では3.45%でこちらも昨年から1.4ポイントの上昇です。
2月に発表された東京商工リサーチのアンケート調査でも約8割の企業が賃上げを予定しており、上げ幅としては3~4%が最も多く3割を占めていて、2~3%が2割強となっています。
物価上昇への対応、人材採用の観点から賃上げをする企業が多くなっていますが、税制での対応はどうなっているのでしょうか。
法人税、所得税とも税額控除により賃上げを促進する制度がありますが、この4月5月が変わり目でもあるので内容を確認しておきます。
1.令和5年2月決算まで:人材確保等促進税制
<対象>
・大企業、中小企業、個人
<要件>
・通 常:新規雇用者給与が2%以上増加
・上乗せ:教育訓練費が20%以上増加
<控除>(法人税、所得税の20%が限度)
・通 常:新規雇用者給与 × 15%
・上乗せ:+5%
2.令和5年3月決算以降:賃上げ促進税制
<対象>
・大企業、中小企業、個人
<要件>
・通 常:継続雇用者給与が3%(中小は給与総額で1.5%)以上増加
・上乗せ①:継続雇用者給与が4%(中小は給与総額で2.5%)以上増加
・上乗せ②:教育訓練費が20%(中小は10%)以上増加
<控除>(法人税、所得税の20%が限度)
・通 常:給与総額 × 15%
・上乗せ(大企業):①で10%、②で 5%、最大30%
・上乗せ(中小) :①で15%、②で10%、最大40%
3.継続中:所得拡大促進税制
<対象>
・中小企業(資本金1億円以下で大企業の子会社でない等)、個人
・令和4年3月~令和6年2月決算
<要件>
・通 常:給与総額が1.5%以上増加
・上乗せ:給与総額が2.5%以上増加+教育訓練費が10%以上増加又は経営力向上計画の認定
<控除>(法人税、所得税の20%が限度)
・通 常:給与総額 × 15%
・上乗せ:+10%
大企業は3月決算を境に「1」から「2」に変わります。
中小企業でも3月決算を境に「1」から「2」に変わりますが、「3」は継続的に使えるので有利なものを選ぶことができます。
今回は時期の違いを明確にするために制度の詳細は割愛していますので別途ご確認下さい。