専従者給与Q&A①

posted by 2023.03.15

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 前回は専従者給与について役員報酬との比較で見ていきましたが、所得税独自の取扱いで注意すべき点が多いので、Q&A形式で確認していきます。

 

Q1.扶養控除や配偶者控除ができない?

A1.事業専従者は扶養控除や配偶者控除の対象となりません。

 パートで103万円以下の場合や親族の会社の役員報酬が103万円以下の場合には配偶者控除や扶養控除を受けられます。
ところが専従者給与で103万円以下であっても扶養控除等は受けられません。
理由としては扶養控除等を認めると「103+48=151万円」の控除ができてしまうからとされています。

 

Q2.専従者給与は配偶者だけ?

A2.配偶者以外も可で複数も可

 生計一親族で専ら事業に従事していれば対象なので、子どもでも嫁でも甥姪でもなることができます。
また仕事さえあれば複数を専従者として届け出ることも可能です。

 

Q3.個人事業主は専従者の扶養になれる?

A3.扶養になれます。

 例えば妻に専従者給与を支払っている個人事業主が業績悪化で赤字になったとします。
すると所得がゼロになるので、専従者給与を受け取る妻の扶養の範囲になり、妻の所得計算の中で配偶者控除を受けることができます
専従者給与を受け取る人は扶養控除等を受けられないというルールはありますが、専従者給与を支払う人が扶養控除等を受けられないというルールはありません。
個人事業主から見ると、自分が給料を支払った相手の扶養になるのは不思議な感じがしますも法律上は問題ありません。

 

Q4.副業は絶対無理?

A4.専従している業務に支障を来たさない範囲ならOK

 専従者給与はその名の通り「専ら従事」していることが経費化の条件です。
職務内容に応じて、従事すべき時間のほとんどを従事している必要があるので、兼業や副業は認められません。
ただし、従事すべき時間外に他の仕事をするこは可能です。
例えば月~金は専従者としての事務の仕事をして、週末は自宅でピアノを教えるといった場合は、従事すべき平日は全て従事しているので専従者として認められます。

 

 思いのほかネタが多かったので次回に続きます。