相続と期限 ②

posted by 2023.03.1

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 前回、民法と登記の改正による相続の期限について確認しましたが、相続税に関しては特に改正はありません。

 

1.原則

・10か月以内(亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内)

 

2.未分割の場合

① 申告書の提出

 10か月以内に協議がまとまらず放置していると延滞税や無申告加算税が発生するため、未分割であっても申告書を提出します。相続人全員で共同して作成する必要はなく、別々に提出できます。

 未分割の状態だと『小規模宅地等の評価減』『配偶者の税額軽減』『相続税の納税猶予等』といった特例が使えないため、相続税は高くなります。

 財産が基礎控除(3000万円+600万円 × 法定相続人の数)以下で相続税が掛からない場合は延滞税や加算税はかかりません。

 

② 3年以内に分割成立

<特例の使用>
 申告期限から3年以内(死亡から3年10か月以内)に遺産分割が成立した場合、小規模宅地等の評価減や配偶者の税額軽減といった特例を使えます。

<手続き>
・①の期限内申告の段階で『申告後3年以内の分割見込書』を提出しておく。

分割の翌日から4か月以内に『更正の請求』をすれば相続税を還付できます。

 

③ 3年経っても未分割

<期限の延長>
 裁判等で長期化して3年を過ぎそうな場合は、税務署長の承認を受ければ特例使用の期限を延長できます。

<手続き>
・①の期限内申告の段階で『申告後3年以内の分割見込書』を提出しておく。

申告期限から3年を経過する日+2か月以内(死亡から4年以内)に税務署に『遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書』を提出

・その後分割できたら、分割の翌日から4か月以内に『更正の請求』をすれば相続税を還付できます。

・なお”やむを得ない事情”とは訴えの提起がされている、調停の申立てがされているなど正式な法的手続きが3年以内に始まっている必要があります。
単に当事者間の話し合いが長期化している場合や放置されている場合には承認を受けることができません。

 

3.改正の影響

① 不動産登記法等の改正(3年以内)

・罰金がかからないよう3年以内に分割できた場合には、相続税の3年10か月以内に収まるので、更正の請求などの手続きを経て相続税を還付できます。

相続人申告登記は相続人であることを知らせているだけなので相続税には影響ありません。

 

② 民法の改正(10年以内)

・10年経つと特別受益や寄与分を主張できなくなりますが、10年経つと自動的に分割されるわけではありません。裁判をすれば早期に法定相続分通りに判決が出るはずですが、それまでは確定とは言えず、相続税には影響ありません。

確定後に更正の請求などの手続きを経て相続税を還付できます。

 

 相続税はあくまで確定ベースで進むため、民法や不動産登記法等の改正は直接的には影響ありませんが、未分割の案件自体は減って特例を受けられるケースが増えることが期待されます。