相続と期限 ①

posted by 2023.02.28

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 民法や不動産登記法等の改正により相続手続きに期限が設けられますが、税金には影響はあるのでしょうか。

結論としては税金の取扱いは今までと変わりません。
それぞれの手続きや期限について確認していきます。

 

1.遺産分割(10年)

① 概要

 従来、遺産分割には期限がなかったので、なかなか話がまとまらず、所有者不明土地や空き家増加の一因となっていました。
そこで民法改正により特別受益や寄与分の主張の期限を10年として、それ以後は主張できず法定相続分で機械的に分けることとなりました。
特別受益とは生前に多くもらってる人は相続時の取り分を少なくする、寄与分とは長年の介護など財産維持に貢献した人の取り分を多くする、という制度です。

 

② 例外

・相続開始から10年以内に家庭裁判所に遺産分割請求⇒期限延長

・相続人全員の合意⇒10年経過しても遺産分割協議での分割可能

 

③ 施行時期

・2023年(令和5年)4月1日

・少なくとも施行日から5年の猶予期間あり

  相続開始から10年経過⇒R5.4.1から5年
  相続開始から 7年経過⇒R5.4.1から5年
  相続開始から 3年経過⇒原則通り10年(残り7年)

 

2.相続登記(3年)

① 概要

 従来、相続登記に期限はありませんでしたが、不動産登記法等の改正により相続を知った日から3年以内の登記が義務づけられました。
正当な理由なく登記を怠れば10万円以下の罰金が課されます。

 

② 例外

相続人申告登記(相続の開始と相続人である旨を法務局へ申出)⇒期限延長

・その後遺産分割が確定したらその時点から3年以内に相続登記必要

 

③ 施行時期

・2024年(令和6年)4月1日

・過去の相続については少なくとも施行日から3年の猶予期間あり

 

 遺産分割の期限は10年ですが、相続登記の期限の3年が先に来るのでそれまでに話をまとめるか、少なくとも相続人申告登記の対応が必要です。

 

 相続税の申告期限や未分割の影響については次回へ続きます。