昨日の続きで償却資産税の内容と改正点について見ていきます。
1.償却資産税とは
① 概要
土地や建物には固定資産税がかかりますが、それ以外の事業用の機械や備品等にかかるのが償却資産税です。
土地や建物については登記情報を元に市役所が税額を決定しますが、登記のない機械や備品等については、個人事業者や法人が毎年1月1日現在の資産を翌年1月末までに申告します。
② 対象資産
<対象になるもの>
・構築物(舗装路面、外溝、看板など)
・建物附属設備(内装、電気設備など)
・機械装置(製造用機械、機械式駐車場設備など)
・器具備品(パソコン、コピー機など)
・少額減価償却資産(30万円未満で経費処理したもの)
<対象にならないもの>
・土地、建物(固定資産税がかかるため)
・車両運搬具(自動車税がかかるため)
・繰延資産(開業費、開発費など)
・無形固定資産(特許権、商標権など)
・一括償却資産(20万円未満で3年償却を選択したもの)
<注意点>
・遊休又は未稼働資産も課税対象
・圧縮記帳をした場合は圧縮前の金額が課税対象
③ 税額
・税率:1.4%
・納期:5月頃から4回分割又は一括(固定資産税と同じ)
④ 免税点
・毎年1/1時点で課税標準額が150万円未満であれば税額はかかりません。
・課税標準額は償却により減っていくので途中から免税になることもあります。
⑤ 手続き
・1~12月の増減額を翌年1月末に資産のある市区町村に申告
・通常は申告書が年末に届きますが、免税点以下である場合には案内のハガキだけが届くことがあります。
2.改正点
・法人税において節税目的の貸付用資産の経費算入が制限されたため、償却資産税においても課税対象に変更
・令和4年4月1日以後に取得した節税目的の貸付用資産については、10万円未満(少額特例)や10万円以上20万円未満(一括償却資産)であっても償却資産税の課税対象
・節税目的?:ドローンなど10万円未満の資産を大量購入して経費算入し、その後レンタル収入と売却で資金回収する課税の繰延べスキームが横行していたようです。
・節税目的でない:リース会社の事業、子会社への事務機器の貸付け、下請先への機械等の貸付け、主要事業に付随する貸付け(学習塾でのタブレット等)など。
貸付用資産での増税については露骨な節税スキームを防止するための改正なので、通常の事業の中で行う貸付けについては影響ありません。