ソフトバンクが370億円申告漏れ、というニュースが出ていました。
内容としてはM&Aにかかるデューデリ費用が経費ではなく株式の取得価額として資産になるというものです。
デューデリ費用に関しては、ソフトバンクに限らず、国税当局と争いになることも多いので処理を確認しておきます。
① 有価証券の取得価額
原則:購入金額+購入のために要した付随費用
② デューデリジェンスとは
M&A対象企業の企業価値、将来の収益性、財務などに関して弁護士やコンサルタント等に依頼して調査や分析を行うこと
③ 判断基準
<形式基準>
・買収の意思決定前にデューデリ費用を支出⇒経費
・買収の意思決定後にデューデリ費用を支出⇒取得価額
前者は意思決定が目的であり、購入のための付随費用とは考えません。
後者は取得を決定した上での購入のための付随費用と考えます。
<実質基準>
・買収の意思決定前であっても、対象が絞り込まれており事実上紐付けが可能であれば取得価額に含めるケースもあります。
・複数の対象企業から選ぶために同時並行的に調査をしていれば、意思決定のための支出であり経費処理が可能です。
④ 合併目的の場合
・処理:有価証券の取得目的ではなく、包括承継である合併目的のデューデリ費用は経費処理OK
・理由:対象企業の内容把握が目的であり、個々の減価償却資産などの取得に直接要した費用と考えられないため
今回のソフトバンクの論点がどのあたりなのかまだ情報は出ていませんが、デューデリ費用は金額もそれなりに大きいだけに形式基準及び実質基準を踏まえた慎重な処理が求められます。