令和5年度税制改正大綱 ③ 贈与税

posted by 2022.12.21

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 税制改正大綱の3回目は大きく変わる贈与税について見ていきます。

 

1.生前贈与加算の期間延長

① 概要

 相続直前に駆け込み贈与して相続税を免れる行為を防ぐため、亡くなる前3年以内の贈与は相続税計算の際に加算されますが、この期間が7年に伸びます。

② 内容

・相続開始前3年以内の贈与…そのまま加算

・相続開始前4~7年の贈与…事務負担軽減のため、4年分合計から100万円を控除して加算

③ 適用時期

 令和6年1月1日以後の贈与から(丸7年加算されるのは令和13年以後の相続から)

 

2.相続時精算課税の緩和

① 概要

 相続時精算課税制度を選択するとそれ以降の贈与全てを集計して申告し続ける必要があり、煩雑になっていたことから年110万円以下の贈与であれば申告不要とされます。

② 内容

・精算課税制度を選択していても年間110万円を控除できるため、少額の贈与であれば実質非課税となり、相続の際にも控除分は加算する必要なし。

・暦年課税の110万円とは別枠なので、精算課税を受けた父から110万円、暦年贈与で母から110万円という使い方が可能。

・精算課税制度は贈与時の価額で加算するのが原則。ただし災害で被害を受けた場合は被害額を控除した残額で加算する。

③ 適用時期

・110万円控除は令和6年1月1日以後の贈与から

・災害の控除は令和6年1月1日以後の災害から

 

3.教育資金贈与

① 概要

 1500万円までを非課税とする教育資金贈与については、条件を厳しくした上で令和5年3月31日までの適用期限が3年延長されます。

② 内容

<従来>
・贈与した人が亡くなった場合、教育資金の残額を相続財産に加算する。ただし受贈者が23未満である場合等であれば加算不要

<改正>
・受贈者が23歳未満等であっても贈与者の相続税の課税価格が5億円超であれば加算が必要

・受贈者が30歳に達した場合等で、教育資金の残額に贈与税が課されるときには一般税率を適用する(直系尊属からの贈与の低税率が使えない)。

③ 適用時期

 令和5年4月1日以後の教育資金贈与

 

4.結婚・子育て資金贈与

概要

 1000万円までを非課税とする結婚・子育て資金贈与については条件を厳しくした上で、令和5年3月31日までの適用期限が2年延長されます。

② 内容

 受贈者が50際に達した場合等で、残額に贈与税が課されるときには一般税率を適用する(直系尊属からの贈与の低税率が使えない)。

③ 適用時期

 令和5年4月1日以降の結婚・子育て資金贈与

 

 精算課税制度の使い勝手を向上させた上で、暦年課税を厳しくすることで精算課税制度を選択しやすくしています。
細かい贈与は追いかけずに、贈与でも相続でも税額が同じという状況にして資産の早期移転を促し、かつ節税をしにくくするのが狙いと言えます。