前回の続きで住所変更登記の義務化について見ていきます。
不動産の登記簿謄本には所有者の住所と名前が出ていますが、住所が変わった場合の登記申請は義務ではありませんでした。
そのため不動産を売却する際に住所が古いと、住所の変更登記がまず必要で、戸籍の附票などで住所の変遷を確認していました。
また住所が古いことで所有者不明土地につながることもあるため、改正により義務化されます。
3.住所変更登記の義務化
① 義務化の内容
・誰が:不動産を所有する個人及び法人
・いつまで:住所等の変更日から2年以内
・何を:登記名義人の住所や氏名の変更登記を申請
・罰金:5万円以下
② スケジュール
・2026年(令和8年)4月28日までに施行
・施行日以前の住所変更分については施行日から2年後が期限
③ 負担軽減制度(職権による変更登記)
住所変更は相続に比べて頻度も多いため、義務付けによる負担も少なくありません。
そこで国が持っている情報を元に職権で変更登記する制度が設けられます。
つまり国が勝手に変えといてくれる、ということです。
<法人>
・法務局の「商業・法人登記システム」の情報から異動を把握します。
・令和6年4月1日から法人番号も登記されるため、法人番号を元に定期的に情報を照会して登記することが想定されています。
<個人>
・個人情報保護の観点から個人は申出があった場合のみ国(法務局)が職権で登記します。
・事前に検索用情報を個人から法務局に提供して、法務局は住基ネットの異動状況を定期的に把握します。
・住民票に異動があった場合、変更登記することについて法務局から個人へ意思確認してOKなら変更登記が進められます。
施行は少し先ですが、登記がスムーズに進むことや所有者不明土地の発生を抑えることが期待されます。