相続土地の引き取り制度

posted by 2022.12.7

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 不動産の登記は義務ではないことから、価値のない不動産は相続登記や住所変更登記がされずに放置されることがあります。

 登記簿を見ても所有者が直ちに判明しない土地や所有者に連絡がつかない土地は所有者不明土地』と呼ばれ、近年社会問題化しています。
例えば公的機関が公共事業や復興事業を進める際の妨げになったり、民間企業による活用を阻害する要因となっています。

 そこで法改正が行われ、相続時に国に土地を渡せる『相続登記国庫帰属制度』が創設され、相続不動産登記や住所変更登記も義務化されることとなりました。
法律の施行時期も近づいてきたことから、これらの改正内容を確認していきます。

 

1.相続土地国家帰属制度

① スケジュール

2023年2月:法務局で事前相談開始
  ↓
2023年4月27日~:申請開始
  ↓
審査・承認
  ↓
負担金を納付(10年分の管理費相当額)
  ↓
国庫帰属

 

② 申請できる人

・相続または遺贈により取得した個人

・共有の場合は全員での承認申請が必要

・贈与、売買、死因贈与による取得は対象外

 

③ 国が引き取らない土地

建物がある
・担保や使用収益権が設定されている
・通路など他人に使用されている
・土壌汚染がある
境界が明らかでない土地や所有権の帰属等で争いがある土地
・こう配30度以上、高さ5m以上の崖がある
・工作物、樹木、車両がある
・地下に除去が必要なものがある
・隣地と訴訟しないと使えない
・地割れや陥没などがある
・鳥獣や病害虫がいて被害が生じている
・その他管理や処分に過分の費用や労力がかかる

 

③ 負担金

・市街化区域外:一律20万円

・市街化区域内:土地の面積や種類による。宅地で100㎡なら「2,720円 × 100㎡+276,000円=548,000円」

 

 要件が多く、負担金も必要でハードルは高いですが、毎年の固定資産税や管理手間との兼ね合いで検討していくことになります。