経営者保証の見直し

posted by 2022.11.29

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 銀行で借入をする際、社長の連帯保証を求められることがあります。

 大企業ではほとんどありませんが、中小企業では7割近くの融資が社長の個人保証ありです。
社長の個人保証があることにより、再チャレンジが難しく起業意欲を削いでいることや重い個人保証により後継者が見つからないといったことが指摘されてきました。
そこで2013年に「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、金融庁から金融機関に対して個人保証に依存しないよう要請しています。

 

 ガイドラインでは個人保証を外す要件として次の3項目が定められています。

① 法人と経営者の関係が区分・分離
② 財務基盤が強固
③ 適時適切な情報開示をしている

 

 ガイドラインはあるものの実際には個人保証が多く残っているために、金融庁では監督指針の改正案が検討されており、2023年4月から適用される見通しです。
監督指針はガイドラインより強い仕組みで、行政処分につながる手続きが記載されたルールブックです。
必要があれば金融庁がヒアリングや検査を実施し、手続きに違反があったり企業とトラブルが起きたりしていれば行政処分の対象になります。

 

 改正案では金融機関に対して次の点が義務化されます。

・「どの部分が十分ではないために保証が必要になるのか」「どのような改善を図れば保証の変更や解除の可能性が高まるか」といったことを企業に説明

・企業に理由を説明したことを記録して金融庁に報告

 

 個人保証が完全になくなるわけではないと思いますが、必要性が監視されることで安全策として習慣で個人保証を取っているようなケースは減っていきそうです。