賃上げ税制 ② 所得拡大促進税制

posted by 2022.10.5

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 賃上げ税制の2つ目は中小企業向けの所得拡大促進税制です。

1.令和3年4月開始

② 所得拡大促進税制(令和3年4月1日~令和5年3月31日開始)

⇒中小企業向け・令和4年3月~令和6年2月決算 

 この制度は前回の人材確保等促進税制と似ている部分はありますが、中小企業向けに要件を緩和して使いやすくしたものです。

 

<対象企業>

・中小企業者等

 中小企業者等とは次の要件を満たすものを言います。

・青色申告で資本金1億円以下
・対象外:同一の大規模法人から1/2以上の出資又は複数の大規模法人から2/3以上の出資
・対象外:前3年の所得平均が15億円超

 中小企業向けの制度であるため、大企業の子会社や大企業並みに稼ぐ会社は除外されます。

 

<要件>

・通 常:雇用者給与等支給額が前年度より1.5%以上増加

・上乗せ:雇用者給与等支給額が前年度より2.5%増加かつ次のいずれかに該当
a.教育訓練費が前年度より10%増加
b.経営力向上計画の認定を受けている

※雇用者給与等支給額

 前回の人材確保等促進税制と異なり。雇用保険の一般被保険者であるかは問いませんし、新規雇用者への限定もありません。
パートやアルバイトが対象になる点、役員とその親族が対象外な点は前回と同じです。
また給与を補填する助成金等は控除しますが、雇用調整助成金等は控除しません。

 

<控除額>

・通 常:控除対象給与等支給増加額 × 15%

・上乗せ:控除対象給与等支給増加額 × 25%

・控除額:法人税または所得税の20%が上限

※控除対象給与等支給増加額

 雇用調整助成金等を含めた給与を補填する助成金等は控除するのは前回と同様です。
前回の人材確保等促進税制は新規雇用者の給与に掛けましたが、所得拡大促進税制では全体の増加額に掛けます。
また上乗せの率は前回は20%でしたが、今回は25%とさらに高くなっています。
掛ける対象も率も今回の方が大きいため、両方使える場合は今回の制度を選択することになります。

 

 このあとの年度では大企業向けと中小企業向けの制度が統合されて1つの制度になります。

(つづく)