非上場の中小企業の事業承継をスムーズに行うための制度として事業承継税制があります。
さらに”特例措置”として期限付きで要件緩和されていて、最初の手続きである計画の申請期限が来年3月となっていました。
国としては、期間限定で大幅に要件を緩めるのでその間に集中的に事業承継を進めて下さい、という趣旨です。
ところがコロナ禍などもあったため、計画の申請期限が1年延長されて令和6年3月31日までとされています。
1年延びたとは言え、期限はすぐやってくるので改めて制度をご紹介します。
使える制度なのか、使うべき制度なのかという判断の検討材料にしていただけたらと思います。
<概要>
非上場の中小企業に関して、商売を続けている限り、株にかかる相続税を猶予する制度。
”免除”ではなく条件付きで”猶予”されるのが特徴です。
<相続と贈与>
事業承継税制には相続版と贈与版があります。
社長が健在なうちに勇退して事業承継の準備を進めていくのが贈与版、相続で引き継いだ時に適用できるのが相続版です。
贈与版を使って早めに事業承継に着手することで次のような効果が期待できます。
≪経営上≫
・前社長が会長として引継ぎ期間をバックアップできます。
・早めの社長交代で後継者の成長が期待でき、関係者(取引先、従業員、銀行等)とも信頼関係を構築できます。
・先に株を贈与しておくことで他の相続人との争いを避けられます。
≪制度上≫
・相続は時期を選べませんが、贈与は時期をコントロールできます。
・後述する特例は株を移転する期限が決まっているので、贈与でないと時期が確定できない面があります。
・後継者の努力による株価上昇分は前社長の相続財産ではなく、後継者の財産となります。
詳しい要件については次回以降見ていきます。