事業承継税制の特例 ② 要件

posted by 2022.08.29

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 前回の続きで事業承継税制の要件について見ていきます。

 

 事業承継税制には一般措置(H21年創設)と期間限定で要件を緩和する特例措置(H30~R9年)とがありますが、まずは基本となる一般措置で要件を確認します。

 

1.会社の要件

中小企業者(例:製造業なら資本金3億円以下又は従業員300人以下)
上場会社、風俗営業会社に該当しない。
・資産管理会社に該当しない(但し従業員5人以上など事業実態あれば適用あり)

 いわゆる中小のオーナー企業であれば該当するケースが多いと思われます。

 

2.先代経営者の要件

会社の代表権を有していた
贈与時に代表権を有していない(贈与の場合だけの要件) 
・先代と親族で50%超の議決権保有
・親族(後継者以外)の中で最も多くの議決権

 贈与時に代表権を無くしておく必要があるので、後継者との2人代表のままだと適用がありません。なお、代表取締役を下りて平取締役としてサポートするのはOKです。

 

3.後継者の要件

<贈与>
・18歳以上
役員就任から3年以上経過
贈与時に会社の代表権を有している
・後継者と親族で50%超の議決権保有
・親族の中で最も多くの議決権

<相続>
・18歳以上
相続時点で役員(先代が70歳未満で死亡ならこの要件なし)
相続から5か月以内に代表取締役に就任
・後継者と親族で50%超の議決権保有
・親族の中で最も多くの議決権

 贈与の場合は後継者が役員になってから3年、相続の場合は相続時に役員という要件があるので、まずは役員になるところからスタートです。
相続の場合は、時期が読めないだけに3年という要件はなく、やや緩くなります。

 代表取締役になるタイミングですが、相続の場合は先代が亡くなってから5か月以内が期限です。生前に交代していても構いません。
贈与の場合は贈与より前であればOKです。
逆に言うと株を先に贈与して、後で代表取締役になる順番だと適用がないので注意が必要です。

(つづく)