名義変更プランその後

posted by 2022.07.15

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 金融庁から14日付けでマニュライフ生命保険に対して業務改善命令が出されています。

 同社は節税効果の高い「名義変更プラン」という商品を重点的に販売していました。
2021年3月の通達改正で節税効果がなくなってからは、年金保険を使った「”新”名義変更プラン」を開発して販売していたのですが、そのことが改正の抜け穴を突いていて悪質だ、と金融庁の逆鱗に触れたようです。

 

「名義変更プラン」がどんな節税手法だったかおさらいしておきます。

① 法人が低解約型逓増定期保険に加入

② 解約返戻率が低い4年目までに役員へ解約返戻金相当額で名義変更

③ 法人では安く保険を売ったことになり損失発生

④ 役員が個人で5年目の保険料支払い

⑤ 役員が保険を解約して解約返戻金を受け取り

⑥ 解約返戻金は一時所得として1/2課税

 

 これだけでは分かりにくいの数字を入れてみます。

① 保険料 2000万円(1/2損金)

② 売却額 2000万円 × 4年 × 返戻率10%=800万円

③ 法人は 800万円-4000万円=▲3200万円の損失、節税効果は保険料を合わせると税率35%で2800万円

④ 保険料 2000万円

⑤ 保険金受取り 2000万円 × 5年 × 返戻率100%=1億円

⑥ 一時所得(1億円-800万円ー2000万円-50万円)×1/2=3575万円、節税効果は税率50%として約1800万円

 通達改正により②の段階で安く売ることができなくなっています。
改正前は名義変更時の解約返戻率でしたが、返戻率が70%に満たない場合はピーク時の解約返戻率を使うように改正されました。
上記の例で言うと100%の8000万円で役員に売る必要があり、名義変更による節税効果は消滅しています。

 

 では既に低解約逓増定期保険に加入している場合はどうすればいいのでしょうか。

 万が一の保障として必要であればそのまま法人で加入し続けるか、必要性がなければ返戻率の高いうちに解約するかになります。
元々返戻率の高い保険なので解約してもあまり損は出ないと考えられます。
なお、あくまで定期保険なので終盤には返戻率はゼロになります。
ずっとほっといてゼロにならないように注意しましょう。