商品を仕入れた場合や製造した場合には諸費用（仕入諸掛）がかかりますが、この諸費用も原価や在庫に含まれるのでしょうか。

　棚卸資産を購入した場合と自社で生産した場合それぞれで諸費用がどこまで原価に含まれるか定められています。

 

１．購入した棚卸資産

① 引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税（附帯税を除く）等その購入に要した費用

② 買入事務、検収、整理、選別、手入等に要した費用

③ 販売所等から販売所等へ棚卸資産を移管するために要した運賃、荷造費等の費用

④ 特別の時期に販売する等のため長期にわたって保管するために要した費用

　ただし、②～④の合計額が購入代価のおおむね３％以内であれば、取得価額に算入せずにその年度の経費にすることができます。

 

２．生産した棚卸資産

① 自己の生産した製品等の生産後において要した検査、検定、整理、選別、手入等の費用

② 自己の生産した製品等を販売し、又は消費するため製造場等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用

③ 生産した製品等を特別な時期に販売する等のため長期にわたって保管するために要した費用

　ただし、①～③までの費用の合計額が製造原価のおおむね３％以内の金額である場合には、取得価額に算入せずにその年度の経費にすることができます。

 

　理屈は上記の通りですが、仕入や生産の都度、単価を計算し直すのは煩雑なので実務的には期末で一括で割り振る処理もあります。

　期中の支払時には売上原価の一項目として費用処理しておいて、期末在庫に対応する部分を按分して在庫に加算しておけば棚卸資産の計上額として漏れがないことになります。

 

　購入代価や製造原価以外の諸費用は単純に経費と考えがちですが、会計的にも法人税的にも棚卸資産の概念は広いので計上漏れのないようにしましょう。