目立たない経費処理

posted by 2022.06.17

yakuza_intelligence

 以前に「サイバー攻撃の身代金は経費になるか?」という突っ込んだ内容を書いたら取材が入ったんですが、経費の中には身代金のように表に出しにくいものもあります。

 サイバー攻撃の身代金みたいな経費を決算書に載せていると「あそこは払ってくれる会社だ」ということになり、また狙われてしまいます。
とは言え、事業継続するためにやむを得ず支払うこともあるので出来れば経費にしたいところです。

 そういった場合にどう表示するかというと、どこにも区分できないという意味で少額であれば販売費及び一般管理費の「雑費」、金額が大きければ営業外費用の「雑損失」か特別損失の「その他特別損失」あたりに入ってくると思われます。
サイバー攻撃の場合は復旧をしてくれるシステム屋さんに身代金込みで対応をお願いして、復旧費用の中に含めて請求してもらうこともあるようです。

 

 ちょっと話は変わりますが、”総会屋”と呼ばれる人たちが跋扈していた時代(1950~1970年代)がありました。
総会屋を一言でいうと”モノ言う反社株主”といったところでしょうか。

 この総会屋に支払う金銭に関しては、租税特別措置法関係通達61の4(1)ー15に次のように書かれています。

「いわゆる総会対策等のために支出する費用で総会屋等に対して会費、賛助金、寄附金、広告料、購読料等の名目で支出する金品に係るもの」は交際費に該当する。

 そのココロとしては「払っているのは分かるが広告費や新聞図書費では実態に合わないので、交際費にしておけば限度計算に引っ掛かって多少課税できるので大目に見るか」といったところです。
現在では大企業の交際費は1円も損金になりませんが、昔は大企業でも損金になる枠が多少ありました。

 中小企業の実務においても、役員関連など経費としてちょっと微妙だなと思うものは控えめに課税寄りの交際費にすることがあります。

 

 ただし度を過ぎると問題ですし、税務署も同じ考え方で税務調査の際には「交際費」「雑費」「仮払金」といった科目は注意深くチェックしているので気をつけましょう。