会社標本調査 ①法人数と資本金

posted by 2022.06.1

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 国税庁から5月27日に令和2年度分会社標本調査が公表されています。

 

 この調査は「我が国の法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的としている」ものです。

 法人税の申告をベースにしていて、全法人の72.9%をカバーしているので信頼性が高く、経済情勢や税制の影響を見る上で興味深い内容となっています。
令和2年度調査は令和2年4月1日から令和3年3月31日までの間に終了した各事業年度を対象としていて、コロナ初年度に該当するため、その影響も見られます。

 

<法人数>

・280万4,371社(前年度比1.7%増)

・8年連続の増加で昭和26年の統計開始後最多の法人数

 

<資本金>

・資本金1000万円以下が86.9%、1000万円超1億円以下が12.5%、合わせて99.4%が中小企業に該当

 有限会社があった時代は資本金300万円以上でしたが、2006年から資本金1円でも株式会社が作れるようになっています。
ただ資本金は信用力のバロメータでもあるため、実際には資本金1円の会社はほとんど見かけません。
データでは資本金100万円以下が17.7%、500万円以下で61.0%となっていて、新規設立する場合は100~300万円という会社が多そうです。

 会社設立時に「資本金はいくらにすればいいですか?」とご質問をいただくことがあります。
信用力から考えると多いに越したことはありませんが、開業資金や運転資金として準備した金額をそのまま資本金にしてもらうケースが多いです。

 なお資本金が1000万円以上になると初年度から消費税の課税事業者になるので1000万円未満に抑えることがあります。
ただし来年10月のインボイス導入により初年度から課税事業者になるケースも出てくるので消費税の観点から資本金を抑える傾向は弱まりそうです。

 

 次回は黒字割合や交際費について見ていきます。