会社標本調査 ② 黒字と赤字

posted by 2022.06.2

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 昨日の続きで令和2年度会社標本調査について見ていきます。

 

<黒字と赤字>

・黒字 37.7%(前年比▲0.7%)
・赤字 62.3%(前年比+0.7%)

 黒字の割合は4割弱で前年度より若干下がっています。
会社規模を資本金1億円以下や1000万円以下で見てもほぼ同じ割合です。

 なお”黒字”というのは決算書で利益が出て、かつ法人税の所得が出ている状態を集計しているので、繰越欠損金を控除して所得がゼロの場合は”赤字”の方に含まれています。

 繰越欠損金については当期控除額が7兆245億円(前年比+9.9%)、翌期繰越額は71兆2651億円(前年比+16.9%)とコロナの影響もあり大幅に増加しています。

 

<利益処分>

・配当   30.5%
・法人税等 14.8%
・賞与等   8.1%
・内部留保 46.6%

 配当や税金を支払って半分弱が内部留保されています。
配当については資本金1億円以下で8.3%、1000万円以下で4.2%と会社規模が小さくなるほど割合が低くなります。
これは中小企業においては「役員=株主」であることが多いため、税引後利益から支払う配当よりも経費になる役員報酬を選択しているものと考えられます。

 

<交際費>

・総額:2兆9605億円(前年比▲24.9%)
・1社当たり:126万円
・売上10万円あたり:219円(売上比0.2%)

 

 会社規模で見ると、資本金1000万円以下で売上10万円あたり590円、1億円以下で103円と会社規模で大きな差があります。

 業種別で見ると1社当たり金額は、① 建設業 ② 化学工業 ③ 金融保険業、売上10万あたりでは、① 建設業 ② 料理飲食旅館業 ③ 不動産業 の順になっています。

 自粛の影響などにより交際費支出は約1兆円減っており、飲食業の苦境が窺えます。