退職金、年金か一時金か?

posted by 2022.05.6

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 退職金制度のうち、退職金共済、確定給付年金、確定拠出年金については年金と一時金とを選べますがどちらが有利なのでしょうか。

 

 考え方は人それぞれで年金額や他の所得によって変わりますが、判断材料としては次のようなものがあります。

 

1.税金

・一時金:退職所得控除+1/2課税+分離課税

・年 金:公的年金等控除

 一般的には3つの優遇がある一時金の方が税金が安くなります。
年金については公的年金等控除もありますが、他の基礎年金や厚生年金も合わせて控除を使うので重なると軽減効果は小さくなります。

 

2.受取額

・一時金:受取時に確定

・年 金:運用益があるので受取総額は増えます。

 

3.健康保険等

・一時金:健康保険等の対象外

・年 金:毎年の所得になるため、国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険料などに影響します。また医療費や介護サービスの自己負担割合にも影響があります。

 

4.ライフスタイル

・一時金:デメリットは使いすぎてしまうリスクがあることです。一方住宅ローンや教育費などまとまった金額が必要な場合には向いています。

・年 金:働き続ける場合や他の公的年金や私的年金など収支のバランスを考慮して受け取ることができます。

 

 1の税金の要素を重視するなら、確定拠出年金(DC)の受け取る時期を調整するのも1つの方法です。
DCは改正により60~75歳の間で受給開始時期を選べるようになりました。
勤務先の退職と同じ年に受け取ると税率が上がってしまうので1年ずらすだけでも税額は減ります。
また勤務先で60歳に退職一時金を受け取り、その後75歳でDCの一時金を受け取れば15年離れているので退職所得控除を制限なく使えます。
ただし税制上有利でもDCの一時金を75歳まで受け取れないとなるとライフプランにも影響しますので、様々な要素を考慮して決めていくことになります。