前回の続きでラップ口座の税金について確認します。
法人の場合は各種手数料を経費にして、売買損益や配当を認識するので特殊な取扱いはありません。
個人の場合は分離課税である点は通常の株式と変わりありませんが、所得区分は「譲渡所得」「事業所得」「雑所得」の3種類に分かれます。
<目的による区分>
① 営利を目的として継続的に行われている場合
⇒ 事業所得又は雑所得
② ①以外の場合
⇒ 譲渡所得
<種類による区分>
① 上場株式で所有期間1年以下(=営利目的で継続的)
⇒ 事業所得又は雑所得 ※
② 上場株式で所有期間1年超(=保有期間中の値上がり益実現)
⇒ 譲渡所得
③ 非上場株式(=流動性低い)
⇒ 譲渡所得
※ 事業所得 or 雑所得
どちらになるかは総合的に判断しますが、本業で生活を支えるものであれば事業所得、副業であれば雑所得というイメージです。
総合課税の場合は事業か雑かで損益通算や欠損金繰越しにおいて差がありますが、分離課税の場合は大きな差はありません。
<事業/雑所得と譲渡所得の違い>
・譲渡所得:譲渡に直接必要な経費しか控除できない
・事業/雑所得:直接経費だけでなく管理費等(通信費、書籍代、パソコン、申告費用等)も経費算入できる
<特定口座>
ラップ口座でも特定口座を選択することができます。
源泉徴収ありにしておけば、口座内で損益通算して所得税住民税を精算してくれるので確定申告の必要はありません。
ただし、ラップ口座に特有の投資顧問報酬や口座管理費については特定口座の中で考慮されていないのでこれらを経費にするには確定申告する必要があります。
結局確定申告が必要になって不便なので税制改正があり、令和4年分からは特定口座の中でこれらの経費も考慮されるようになります。
<まとめ>
・ラップ口座は通常、分離課税の譲渡所得か雑所得に該当
・令和3年までは顧問報酬等を経費にするためには特定口座源泉徴収ありでも確定申告必要
・令和4年からは顧問報酬等も特定口座内で考慮されるので確定申告不要。より経費を多く計上するなら確定申告する方が有利