前回の続きで現金贈与の注意点について見ていきます。
ポイントは「贈与が成立しているかどうか」です。
1.渡し方
✕ 手渡し
〇 振込み
手渡しだと証拠が残らないので立証できません。
そのため、振込みがベターです。
特に非課税ギリギリの110万円の贈与だと申告もしないので振込みはマストです。
2.申告
〇 贈与税申告(翌年2/1~3/15)
110万円以下なら申告不要ですが、110万円超なら申告必要です。
そのため、あえて少しオーバーさせて申告して贈与税を払っておけば税務署に証拠を残すことができます。
120万円の贈与なら贈与税1万円、111万円の贈与なら贈与税1000円です。
3.書類
△ 贈与契約書
贈与はあげる人、もらう人の合意によって成立するのでそれを証明するために贈与契約書があるに越したことはありません。
ただし、振込みや贈与税申告など他のアクションで証明できるのであれば贈与契約書の必要性は下がります。
4.管理
✕ ハンコも通帳管理も親や祖父母
〇 ハンコや通帳管理は子や孫
当たり前の話のようですが、「現金渡すと無駄遣いするかも知れない」「マジメに働かないかも知れない」などと考えて親が通帳を持ったままのことがあります。
さらに子どもの方でももらった認識がなければ贈与は成立していないと指摘されます。
5.残高
△ 使わず増える一方
〇 何かに使う
贈与のための通帳を作っていて毎年贈与をすると残高は増える一方になります。
携帯代の引き落としでも何でもいいので少しはもらった子や孫が使っている方が本人が管理しているということがより分かります。
6.毎年の贈与
✕ 10年分の贈与を最初に約束(定期贈与)
〇 毎年判断して贈与
毎年贈与をするとまとめて1回の贈与とみなされる、というような記事をたまに見かけますがよほどでないとそんな認定はされません。
契約書を作って「10年間、毎年誕生日に200万円贈与する」と書くと10年間年金で受け取る権利を与えたことになるので一括の贈与と認定される可能性はありますが、贈与するかしないかを毎年判断していれば問題ありません。
日付や金額をずらすに越したことはありませんが、それが決め手になるわけではありません。
「✕」の項目を避けて、なるべく「〇」の項目に寄せて贈与するようにしましょう。