金融所得課税の見直し⁉

posted by 2021.10.6

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 政権が変わり、金融所得課税の見直しがテーマの1つになっています。

 キーワードは「所得税負担率」
所得に対してどれぐらい所得税を払っているかという割合です。

 所得税の税率は5~45%(+復興所得税)
所得が増えるほど税率が高くなる超過累進税率となっています。
階段式なので45%の人も所得全てに45%を掛けるわけではなく、下の方は5%や10%も適用されていて平均すると低くなります。

 さらに各種所得控除を考慮して計算した所得税負担率は、令和元年度では次のような割合となっています。

・所得 300~ 500万円: 4.1%
・所得 500~1000万円: 8.3%
・所得1000~2000万円:16.1%
・所得2000~5000万円:24.0%
・所得5000万円~1億円 :27.9%
・所得1億円超       :23.2%

 ポイントは”1億円の壁”、それまで上昇していた負担率が1億円を超えると下がっています。

 

 なぜこんなことが起こるかというと主な要因として株の配当や売却などの金融所得があります。
配当や株の売却に対する所得税は15%(+復興所得税)と一定でいくら多額になっても税率は上がりません。そのため金融所得が多い人ほど平均の所得税負担率は下がります。
また住民税についても、給料や事業などでは10%ですが、金融所得に関しては5%と低くなっています。

 

 株式譲渡益への税金は昭和の時代は非課税でした。
その後、平成に入り1989年に収入×1.05%、2003~2013年は10%(住民税3%含む)、2014年からは20%(住民税5%含む)と推移しています。

 

 金融所得課税の見直しは急に出てきた話ではなく、税制調査会などでも以前から指摘されていました。
25%という案も出ていましたが、株式市場での投資意欲を削ぐという観点からこれまで見送られてきました。

果たしてどうなるのか。
年末の税制改正大綱が注目されます。