人間ドックはどこまで経費?

posted by 2021.08.3

medical_barium

 人間ドックの費用を会社が負担した場合、福利厚生費として経費になるのでしょうか。

 

 所得税基本通達36-29には次のように書かれています。

「…役員又は使用人が受ける経済的利益については、その経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、(給与として)課税しなくて差し支えない

 

<ポイント>

・著しく多額でない

 いくらからが”著しく多額”かは線引きが難しいところですが、国税庁HPでは2日間の人間ドックが例に挙がっているので数万円は許容範囲と考えられます。リゾート的要素のある20~30万円の豪華な人間ドックとなると”著しく多額”に該当してきます。

・役員だけを対象としていない

 福利厚生費は平等に機会があり、えこ贔屓がないのが前提です。
ただし、35歳以上など年齢などを条件にすることは可能です。
希望者だけが受けている場合も経費になりますが、受けない人にお金を支給すると給料になります。

 

<疑問点>

① オプション検査

 オプション検査は本人が選ぶもので金額の幅もあるため、原則的には本人負担であり、会社が負担した場合には給料になります。
ただし、オプションといえども内容が一般的な範囲(例:他の1泊2日間コースに含まれている、労働安全衛生法の健康診断の範囲に含まれているなど)で、金額が多額でない(例:福利厚生規程等で上限を定めている)場合には給料ではなく福利厚生費として経費にできる余地もあります。
このあたりはケースバイケースで時代によっても変わるので慎重に検討しましょう。

 

② 役員だけの会社や個人事業主

 健康診断は労働安全衛生法により、年1回受けさせることが事業者に義務付けられています。
労働者が対象なので役員だけの会社での役員や個人事業主本人は、福利厚生費として経費に落とすのは難しいです。
但し、実務上は少額であれば経費として通っていることもあります。

 

 健康経営の考え方も浸透してきていますし、コロナ禍で健康をより意識するようになっているので、健康診断や人間ドックを充実させる会社も増えてきそうです。
給与課税にならないよう気をつけながらルールはしっかり定めておきましょう。