定款変更 ②

posted by 2021.07.19

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 前回の続きで定款変更の内容と届出等について見ていきます。

 

4.よくある定款変更

① 本店所在地

 定款に「〇丁目〇番〇号」というように全住所が書かれていれば移転の際に定款変更が必要です。
階数が書いてあれば、同じビル内の移転でも必要です。

 ただし「大阪府大阪市に置く」と書いてあって大阪市内の移転であれば定款変更は不要です(登記は必要)。
定款には最小行政区画(市町村及び東京23区)までは必ず書くルールになっているので、近くへの移転も想定してそこまでの記載で止める例が多いです。

 

② 目的

 当初想定していた事業内容から拡大する場合は定款変更が必要です。
あとで追加すると定款変更(+登記)で費用もかかるので設立時には可能性のあるものは全て書くのがベターです。
設立時の目的の最後に「上記各号に附帯関連する一切の事業」と言った文言があれば周辺事業もカバーできるのでその場合は定款変更は不要です。

 なお、許認可が関わる事業(古物商、労働者派遣事業、建築、運輸等)については目的が正しく書かれていないと許認可が取れないので注意が必要です。

 

③ 役員の任期

 役員の任期は株式会社であれば最長10年なので、2年や4年の任期を10年に延ばす場合には定款変更が必要です(登記は不要)。

 

5.登記の要否

 定款変更が必要なものは登記も必要なケースが多いですが、登記が不要なものとして次のようなものがあります。

・役員の任期
・役員の人数(定款の範囲内での変更)
・事業年度

 

6.税務署等への届出の要否

 定款変更や登記変更があった場合、税務署、都道府県、市町村への異動届が必要なケースが多いですが、税金の計算に影響しない次のようなものは不要です。

・役員の任期
・役員の人数
・役員変更(代表取締役のみ必要)
・機関変更(取締役会の廃止等)

 

 登記や届出も絡んで複雑ですが、設立の仕方によって後の手続きも変わってくるので、設立段階で専門家に相談して十分に検討するようにしましょう。