教育資金贈与の大幅改正

posted by 2021.01.13

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 税金の世界では減税はすぐ、増税は時間をかけて適用するのが一般的です。
減る分には文句を言う人はいませんが、増える分には経過措置があったり、時間差で忘れた頃に上がったりします。

 

 ところが、教育資金贈与結婚・子育て資金贈与については、年末の2021年度税制改正で2年延長が決まったばかりですが、今年の3月までと4月以降でガラッと変わっています。
 特に教育資金贈与については、教育費がかかる若い世代への財産移転という本来の目的に加えて、節税目的で多額に贈与されたケースが多かったため、節税しにくいようにメスが入っています。

 

1.教育資金贈与

① 従来制度の概要
・父母や祖父母→30歳未満の子や孫
・1人当たり上限1500万円(うち習い事など学校以外分は上限500万円)
・子や孫が30歳時点で残高があればその時点で贈与税発生
・金融機関に申し込むと自動的に税務署にも申告

 非課税枠が子や孫1人当たり1500万円と大きいことや相続時点では課税されず30歳までに使い切ればよかったので、相続対策として数千万円以上贈与されることもありました。
そこで本来の目的に絞り込むために少しずつ規制されてきています。

 

② 改正の経緯
<2019年4月~>
・子や孫の合計所得金額が1000万円超で対象外
・相続前3年以内の教育資金贈与の残額を相続財産に加算。但し、23歳未満や学校在学中ならセーフ。

<2019年7月~>
・料理や英語など23歳以上の習い事は対象外

<2021年4月~>
・相続前3年以内に関わらず教育資金贈与の残額を相続財産に加算
・相続人でない孫への贈与は2割加算の対象

 今回の改正で残額が加算されることになったので、教育資金をその都度贈与する場合と同じになり、制度としての節税効果はほぼなくなったと言えます。
ただし、生前贈与によりまとまった金額を教育資金として確保してあげる、という目的では今後も使えます。

 

2.結婚・子育て資金贈与

 結婚や子育て資金を1000万円まで贈与できる制度ですが、当初から相続時に残高があれば相続財産に加算する仕組みだったので節税効果は元々ありませんでした。
そのため、直近の件数も教育資金贈与の1/40以下であまり普及はしていません。
今回の改正では教育資金贈与と同様、相続人でない孫への贈与が2割加算の対象となっています。

 

 マイナーな結婚・子育て資金贈与はともかくとして、教育資金贈与を検討されていた方はどうせするなら3月まで実行することをお勧めします。