消費税の後出し変更

posted by 2020.12.2

janken_boys

 10~12月決算の法人や個人の場合、コロナの影響がほぼ1年あるので想定より売上げがかなり減少していることがあります。
そんな場合、後出しで消費税の課税方法を変更することが可能です。

 

1.概要

 消費税は転嫁を前提とする税金であるため、原則として課税期間開始前に課税方法(免税or課税、原則or簡易)を選択します。
その選択の際には、翌課税期間の売上や経費、設備投資の予定などを考慮して最も消費税が少ない課税方法を選択します。

<例>
・業  種:サービス業
・課税売上:4000万円(見込み)⇒2000万円(実際)
・課税仕入:1500万円(見込み)⇒1200万円(実際)
・人件費 :2000万円(見込み)⇒1500万円(実際)

<見込み>
・原則:250万円(400万円-150万円)
・簡易:200万円(400万円×50%) 
⇒有利な簡易課税を選択

<実際>
・原則: 80万円(200万円-120万円)
・簡易:100万円(200万円×50%)
⇒原則の方が税額少ない

 売上の減少に伴って仕入など変動費は減少しますが、家賃など固定費があまり減らない場合、上記のような逆転現象が起こります。
その場合は課税期間の途中であっても原則課税に変更することができます。

 

2.変更できるパターン

① 課税⇒免税
② 免税⇒課税
③ 原則⇒簡易
④ 簡易⇒原則

 なお、課税事業者や簡易課税を選択した場合、原則として2年継続しないといけない要件がありますが、コロナの影響で例外的に変更した場合には2年縛りはありません。

 

3.手続き

 どの変更をするかによって手続きは異なります。

<①②:課税⇔免税>

≪要件≫
 令和2年2月1日~令和3年1月31日のいずれか1か月で売上がコロナの影響で概ね50%以上減少

≪手続き≫
 決算後2か月以内に承認申請書を提出(正確には②は翌期首から2か月以内)

 

<③④:原則⇔簡易>

≪要件≫
 コロナによる売上減少(50%以上の要件なし)、事務処理能力の低下、感染拡大防止のための臨時的な課税仕入れが発生

≪手続き≫
 コロナの影響による被害がやんだ日から2か月以内に承認申請書と簡易課税制度選択(不適用)届出書を提出

 ①②はコロナ特例なので、要件も手続きもシンプルですが、③④は従来からある災害時の特例を使うので、申請書に書く内容も少し細かくなります。

 

 変更の前提として、免税は基準期間(2年前)の課税売上げが1000万円以下、簡易課税は5000万円以下であることが要件ですが、該当するところは後出しの届出で税額を減らすことができないか検討してみて下さい。