雇用調整助成金の税務

posted by 2020.11.27

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 コロナ禍において雇用調整助成金を受給している会社も多いと思います。

 現行制度は年末まであることは確定していますが、2日前のニュースによると来年2月末までは現行の特例水準(上限15,000円)が継続されるようです。
3月以降は雇用情勢やコロナの状況を考慮しつつ、段階的に縮小される予定です。

 

 雇用調整助成金の税務について確認しておきます。

(1)消費税

 対価性のない助成金であるため、『不課税』となります。

 

(2)法人税

 雑収入として計上し、法人税の課税対象です。
なお、計上時期については入金時期でも確定時期でもなく、休業した時期になります。
雇用調整助成金は経費補填の性格が明確であるため、対象となる休業が決算期内にあればその金額を見積もって未収計上します。
実際の入金額との間にズレがあった場合には入金があった事業年度で差額を修正します。

 

(3)所得拡大促進税制

 賃上げを行った場合に税額控除できる『所得拡大促進税制』は給料の額を基準とするため、雇用調整助成金を受け取っている場合は影響があります。

<所得拡大促進税制の要件>

① 給与総額が前事業年度より増加

② 継続雇用者への給与総額が前年度より1.5%(特例は2.5%)以上増加

<雇用調整助成金の調整>

・①の今期の給与総額から控除

・②の継続雇用者への給与総額から控除

 受け取った雇用調整助成金の中から継続雇用者分だけを抜き出すのは複雑な計算になるので、人数比などある程度合理的な基準で控除していれば認められるようです。

 補填された給料は除かれるため、多額の雇用調整助成金を受け取っている場合には、所得拡大促進税制は受けにくくなります。
逆に来期以降に雇用調整助成金部分がなくなった場合には、給料は増加しやすくなるので所得拡大促進税制は受けやすくなります。

 

 財源は無限ではないので、雇用調整助成金もいつか縮小されるとは思いますが、特に厳しい業種や中小企業についてはできるだけ今の水準で長く続けてもらいたいところです。