在宅勤務と特定支出控除

posted by 2020.09.4

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 サラリーマンは領収書を集めても通常は経費になることはありません。

 スーツ代、本代、飲み代など経費はかかりますが、「給与所得控除(最低65万円~最高195万円)」という仕組みで概算で控除して年末調整で完結するので、通常は確定申告することはありません。

 しかし概算経費以上に経費を使うことも考えられるため、例外的に「特定支出控除」という仕組みがあります。
これは実際にかかった金額が給与所得控除額の1/2を超える場合には、超える部分が追加で控除できるというものです。
例えば、年収400万円であれば、給与所得控除が124万円なので、特定支出が70万円あれば、124万円の1/2を超える8万円が追加で控除されます。

 特定支出控除の対象となる経費は、次の内容のうち勤務先が証明したものを言います。

1.通勤費
2.転居費
3.研修費
4.資格取得費(H25年から弁護士、会計士、税理士等の学費含む)
5.単身赴任者の帰宅旅費 
6.勤務必要経費(H25年追加。図書費、衣服費、交際費等で上限65万円)
7.出張旅費(R2年から追加)

※単身赴任の帰宅旅費については、令和2年から回数上限(1ヶ月4往復まで)が撤廃され、ガソリン代や高速代も対象になるよう改正されています。

 

 改正とは直接関係ないですが、今年はコロナの影響で在宅勤務するようになった方も多いと思います。
在宅勤務することで今までかからなかった経費がかかるようになりましたが、これは特定支出控除の対象になるのでしょうか。

 国税庁のQ&Aで次のようなケースが書かれています。

① 机・椅子・パソコン等の備品購入のための費用
② 文房具等の消耗品の購入のための費用
③ 電気代等の水道光熱費やインターネット回線使用のための費用
④ インターネット上に掲載されている有料記事購入のための費用

 このうち、④については「不特定多数の者に販売することを目的として発行される図書費」として特定支出控除に該当するとされています。
それ以外の①~③については該当しないので、②はともかくとして、①と③については会社からの補助や手当がなければ本人負担ということになります。

 

 今後も在宅勤務やテレワークを国として推奨していくのであれば、もう少し特定支出の対象を拡大してもらいたいところです。