コロナの影響で接触を減らす、電子化を推進するという流れがありますが、年末調整の電子化もその1つです。
元々は平成30年度税制改正で決まって導入が令和2年分からなので、コロナとは関係ないのですが、業務効率化の観点から導入を検討する企業も増えています。
いきなり結論ですが、一番のポイントは次の2点です。
・従業員全員がマイナンバーカードを取得し、マイナポータルからデータで控除証明書情報を取得
・従業員が年調ソフトに入力し、自動計算できた状態で経理総務にデータ提出
大前提としてマイナンバーを全員に取得してもらうこと、従業員さん本人に作業をしてもらうことがありますので、これをクリアしないと電子化によるメリットが限られます。
電子化については国税庁からパンフレットが出ているのですが、制度を簡単に解説するはずのパンフレットなのに7種類もあります。
まずはメリットを会社と従業員の観点から見ていきます。なおメリットはパンフレットに謳っている内容で、カッコ書きは中の人の心の声です。
1.会社のメリット
① 各種控除の検算が不要
国税庁提供の「年調ソフト」に従業員が入力して提出するので控除額は自動計算されます。
(従来も市販ソフトで自動計算はされてましたが…)
② 控除証明書等のチェックが不要
手書きの場合、控除証明書とソフトへの入力との突合作業がありましたが、これがなくなります。
③ 従業員からの問合せが減少
年調ソフトの入力支援機能や「年末調整電子化ヘルプデスク(仮称)」を利用することにより、従業員から経理総務への問合せが減少することが見込まれます。
(年調ソフトの使い方に関する問い合わせは増えそうですし、ヘルプデスクも電話がつながらない懸念はありますが…)
④ 年末調整関係書類の保管コストの削減
データ保管するので、書類の保管が不要になります。
2.従業員のメリット
① 控除額等の記入・手計算が不要
データで取り込んで自動計算されるので手間は減ります。
② 控除証明書の紛失リスクがない
これまで控除証明書の再発行に時間がかかり、諦めてしまうこともありましたが、データなのですぐに再取得できます。
③ データ提出なので押印不要
押印や提出のために出社する必要がなくなります。
(電子署名やパスワードより押印の方が簡単な気もしますが…)
④ 勤務先からの問合せが減少
年調ソフトの入力支援機能を利用して自動計算されるので、誤りのない控除申告書が作成できます。
最初の準備が大変そうですが、中途半端ではなくきっちりと導入して、ある程度の規模があれば効率化のメリットはありそうです。
次回以降具体的な手続きや準備について見ていきます。