個人成りのメリット

posted by 2020.07.7

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 コロナの影響で経営の在り方を根本的に見直す方が少なくありません。
どこまでテレワークできるのか、オンラインなど非接触でのサービス提供、業務分担の見直しなど様々なものがありますが、法人を個人にする”個人成り”についても相談を受けることがあります。

 経費節減という観点もあるでしょうし、そもそも法人である必要があるのかどうかという論点もあります。
そこで”個人成り”した場合にどのような影響があるのか見ていきます。

 

<メリット>

① 消費税の免税

 消費税は2年前の課税売上げが1000万円以下であれば免税であるため、個人に移行すると2年間は消費税が免税になります。
ただし、これを2年ごとに繰り返すと消費税を払わない脱法行為ができてしまうので、税務署も本当に合理性のある変更なのかはチェックします。
そのため法人と個人を行き来することはできないとお考え下さい。

 

② ランニングコストの減少

 法人の場合、少なくとも赤字であっても都道府県と市町村に少なくとも7万円の均等割を払う必要がありますが、個人だとこれが5千円です。
税理士等に払う専門家費用については依頼する内容が減ればその分減ります。

 

③ 社会保険の加入義務

 法人は役員1人であっても社会保険が強制適用となりますが、個人は5人未満であれば任意適用で、サービス業や農林漁業等については5人以上であっても任意適用となります、

 

<変化なし>

① 帳簿の正確性

 個人だから帳簿は適当でいい、というルールはありません。
複式簿記である必要がないので簡単になるという点がありますが、正確に作成された帳簿に基づいて決算をする、というのは法人でも個人でも変わりません。
なお、個人成りした場合には、個人として開業届や青色申告承認申請書を新たに提出することになります。

 

② 借入金の返済

 法人で借入金がある場合には、今後は個人で返済していかなければなりません。
借入金の名義変更は手続きが煩雑なので、個人が保証する形にして実質的に個人から返済していくケースが多いです。
そのため法人を借入金返済のためだけの”箱”として残すこともあります。

 

 長くなるのでデメリットについては後半へ続きます。